銘仙 立涌麻　L

立涌（たてわく）紋様の中に四崩し、麻の葉紋様を織り込んだ銘仙の着物から。

立涌紋様は蒸気が空に向かって立ち上る様子を紋様化したものとされ、運気上昇・出世の意味を持ちます。

麻の葉紋様は生命力が強い植物の麻に因み、「成長」の意味を持ちます。

また神事などにも用いられることから、身を守る魔除けの紋様としても使われてきました。

四崩しは、和算や易占に用いる「算木」を紋様化したもので、こちらも吉祥紋様のひとつ。

和算は江戸～明治に発展した日本独自の数学で、当時世界最高水準にあったといわれています。

整然と並んだ四崩しは知的な印象を与えます。

銘仙 ― 絣（かすり）という技法を用いた平織りの絹織物。布を織る前の糸の段階で染色を行う先染めと呼ばれる織物です。等間隔の幅に並べた経糸を一本ずつ上下に分け、その間に緯糸を通していく作業を何回も繰り返し行います。経糸と緯糸の色をずらしながら織ることで柄がにじんだような風合いになるのが特徴です。大正～昭和に一世風靡した銘仙ですが、現在では生産数の少ない貴重な織物となっています。